ザ・マジック 031号〜040号
デアゴスティーニから刊行された、隔週刊「ザ・マジック」。マガジンとDVDのセットで解説をするというスタイルは、マジックのレクチャーにはちょうど良いのかもしれません。監修はメイガス氏。現代のターベル・システムとなり得るか。
隔週刊 ザ・マジック シリーズ紹介
No.031
MAGIC
086. 消えるミルク
087. ビル・チェンジ
088. テン・カード・ポーカー・ディール
付録
* 消えるミルク
今号は基本テクニック講座はありません。作品解説は3つです。ひとつ目は「消えるミルク」。付属しているテンヨー製のコップを使うことで中のミルクを鮮やかに消すことができます。秀逸なアイディアと精巧な道具があるからこそ、テクニック不要でこれだけの現象が起こせます。ふたつ目は「ビル・チェンジ」。誰もが一度は見たことがある名作。千円札を一度折りたたみ、その後ゆっくりと開いてみると一万円札に変わっています。たくさんの写真を添えて4ページにも渡って詳細に解説されており、細かなアドバイスも満載です。みっつ目は「テン・カード・ポーカー・ディール」。10枚のカードを使って相手とポーカーの勝負をしますが、どう配ってみてもマジシャンが勝ってしまいます。原理を理解すればテクニックは不要です。
HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、Tokyo Tomo氏が取り上げられています。2号続けてトモさんなのは偶然。Tokyo Tomo 氏は、クールにビシッと決めてくれる時もあれば、女装してコミカルな演技を見せる時もあり、国際マジシャン歌唱コンテストで優勝したかと思えば、ジャグリングとマジックを融合させた演技で「世界一変なマジシャン」として名を挙げたり、と個性的なマジシャンです。そんな彼と、ジャグラーのぱわぁ氏とで結成されたコンビ「まわりみち」も紹介されています。
No.032
MAGIC
089. 超能力ダイス
090. オー・ヘンリ・4エーセス
091. 灰の魔法
付録
* 超能力ダイス
今号は基本テクニック講座も WELCOME TO MAGIC WORLD も HISTORY OF MAGIC もありません。作品解説が3つだけという構成ですが、その分解説は充実しています。ひとつ目は「超能力ダイス」。これに必要な道具は付属されています。6つのダイスをケースに入れ蓋を閉め、一振りするだけで1から6まで並べることも、全てを同じ目に揃えることも可能です。自在にサイコロの目を操ることができる、テンヨー製の精巧な製品です。ふたつ目は「オー・ヘンリ・4エーセス」。12号でも「4エース」が取り上げられていますが、さらにもう一捻り加えた作品です。サッカー・トリック(失敗したと見せかけて実は...という作品)でもありますので、雰囲気が悪くならないように気をつけつつ、最後のどんでん返しを盛り上げたいところです。みっつ目は「灰の魔法」。紙に描いた手のひらにタバコの火を押しつけて焦げ目をつけます。ところが観客の手のひらを見ると、なぜか同じ場所に灰が...というちょっと不気味な作品です。
No.033
MAGIC
092. サイズ・サプライズ
093. ファンカード(後編)
付録
* サイズ・サプライズ
今号の基本テクニック講座で取り上げられているのは、久しぶりに「ファンカードの扱い方」です。29号に付属していたファンカードを使います。解説されているのは、「アーム・スプレッド」「分裂ファン」「小さくなるカード」の3つです。最後の小さくなるカードは、ファンの支点を少しずらすことで、ひとまわり小さなカードでファンにしたかのような錯覚を与えられます。
作品解説は2つです。ひとつ目は「サイズ・サプライズ」。クラブのエースから5の5枚のカードがあり「どれが一番大きいですか?」と質問します。当然「5」と答えが返ってくるわけですが、次の瞬間、カード自体の大きさが変わり、クラブの5は一番小さく、クラブのエースが一番大きなサイズになってしまいます。付属のトリックカードを使います。ふたつ目の作品は「ファンカード(後編)」。29号で前半が解説され、何故か続きは33号まで待たされるという構成でしたが、その謎が解かれることはありませんでした。理由もなく淡々と後半の演技が解説されています。ファンに開き、ファンの色が変わり、ちょっとしたフラリッシュを挟んで、ファンが小さくなり、さらに小さくなり、デックが消えたかと思うと、最後にファンになって現れます。
HISTORY OF MAGIC ではロベール・ウーダンが取り上げられています。マジックの歴史を語るなら外すことのできないマジシャン。近代奇術の父、ロベール・ウーダンです。時計職人の息子として生まれたウーダンがマジックの世界に入るきっかけになったエピソードや、のちに「近代奇術の父」と呼ばれる理由にもなる、演技スタイルの大変革など、ウーダンを知る上で欠かせない話題が詳しく語られています。またタイトルに①と付いていますので、今後の号で続編があるようです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、中島弘幸氏が取り上げられています。白塗りの顔にベネチアンマスクを付け、一言も喋らずにカードマジックを演じた、某テレビ番組の名物キャラクターだった方です。
No.034
MAGIC
094. エッグ・ベース
095. オイル & ウォーター
096. エース・プロダクション
付録
* エッグ・ベース
今号は基本テクニック講座はありません。その分作品解説にページが割かれています。
作品解説は3つです。ひとつ目は「エッグ・ベース」。「茹で卵を載せる台」の事ですが、日本にはあまり浸透していないので馴染みがないものの、海外では(Egg Cup という名前で)一般的なものです。子供向けのマジック入門セットには必ずと言って良いほど入っている作品です。エッグベースの上に卵を乗せ蓋をします。ですが蓋を開けると中の卵が消えてしまうという現象が起こせます。ふたつ目は「オイル & ウォーター」。しっかりと準備が必要ですが、その分、数枚のカードを赤黒に分けるだけではなく、デック全体が赤黒に分かれてしまうという、インパクトの強い現象になっています。この作品に限り、演技・解説はゲストマジシャンのヤマザキルイ氏が担当しています。みっつ目は「エース・プロダクション」。デックを華麗にカットしているだけかと思いきや、突然4枚のエースを取り出して見せるという、テクニカルな作品です。
「オイル & ウィーター」に6ページも割いた影響か、HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、その「オイル & ウィーター」の実演・解説を担当したヤマザキルイ氏が取り上げられています。脚本や小説も執筆するという知性はマジシャンだそうです。氏がオーナーを務めるマジックカフェ & バー「BELIEVE」は、石川県金沢市にあり、クロースアップからステージまで幅広いショーが見られるそうです。
No.035
MAGIC
097. エッグ・バッグ
098. サン & ムーン
付録
* エッグ・バッグ
今号も基本テクニック講座はありません。その分作品解説にページが割かれています。
作品解説は2つです。ひとつ目は「エッグ・バッグ」。前号に引き続き、卵(偽物ですが)を扱った作品です。黒い小さな袋に入れた卵が消えたり現れたり、最後には観客が手に持ったからの袋の中に、突然卵が現れます。このシリーズでは異例の7ページにわたる解説です。なお、演技に必要な袋は付属しています。ふたつ目は「サン & ムーン」。アルバート・ゴッシュマンの代名詞的作品です。必要なコインは2号と8号に付属しています。道具に工夫を凝らして技術的なレベルが高くなりすぎないように配慮されています。両手に持った別々の種類のコインが目の前で入れ替わる、スピードでごまかさず、ゆっくりとした流れで演じることがポイントです。
今号も HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、キッズマジシャンが2人紹介されています。小学校5年生にして JCMA 公認の最年少マジシャンとなった TAICHI。ターベルコースに夢中になり、たくさんの演技を見て勉強するのは、マジシャンなら誰もが通る道。その後、コンテストに出れば入賞し、テレビにも出演しちゃう成長ぶりを見せるものの、いまだ12歳の少年。今後も活躍が期待されるところです。もう一人はキッズマジシャン HINATA。マジックショップの実演販売で好奇心を鷲掴みにされ、時間も忘れて夢中になって練習する、やっぱり誰もが通る道。しかしその後、Twitter を開設したのをきっかけにマジックの世界がさらに広がります。9歳にしてステージデビュー。今後も各種イベントやテレビ出演などが続くことでしょう。ふたりとも twitter で活躍が見られます。
No.036
MAGIC
099. ボールの交換
100. ピアノ・トリック
付録
* ボール、シェル
久しぶりの基本テクニック講座は、ボールのテクニックです。付属のシェルを使ってボールを増減させる基本的な技法が解説されています。また「アレクサンダー・ボール・ロール」という、指先でボウルを転がすフラリッシュ・テクニックも解説されています。
作品解説は2つです。ひとつ目は「ボールの交換」。今号付属のボールとシェル、30号に付属していたもうひとつのボール、19号に付属していた青いシルク、とグラスをひとつ。これらを使ってビジュアルな移動現象を起こします。白いボールはグラスの中に入れてシルクをかけておきます。手に持った赤いボールに息をかけると一瞬で白いボールに代わり、グラスの中のボールを確認すると赤に変わっています。ふたつ目は「ピアノ・トリック」。古典的な作品で使うのはトランプ1組だけ。テクニックも不要です。原理が簡単すぎて通用するのか不安になる作品ですが、通用するからこそ長年生き残ってきた作品です。テクニック不要な分、堂々と相手の認知のミスを誘いましょう。
今号も HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、2人のマジシャンが紹介されています。1人目は大阪で活躍しているマジシャン、ローズ。バーノンズバーからデビューし、有名ホテルや豪華客船などで演技を披露しています。定期的にバーノンズバーやフレンチドロップでも演技が見られるそうです。クロースアップからステージまで幅広く演じていらっしゃいます。2人目は大阪芸術短期大学でダンスと演技を学び、ローズに師事したあと、自身もプロマジシャンへと歩みを進めたマジシャン、MOMO。女性では珍しいカードマニピュレーションもこなす実力派。スタイリッシュな演技は幅広い層に好評だそうです。
No.037
MAGIC
101. ボトルド+
102. 5枚カード
103. 幽霊の感触
付録
* ボトルド
今回の基本テクニック講座は、カードのテクニックです。誰もが一度はチャレンジするのではないかという「バック・パーム」を見開きで詳しく解説しています。しかも次の見開きでは「小手返し」と題して、バック・パームとフロント・パームを行き来するやり方を解説していますので、実質4ページにわたる詳細な解説です。付録のDVDでも実演が見られます。
作品解説は3つです。ひとつ目は「ボトルド+」。ペットボトルの蓋がペットボトルの中に入ってしまうという現象に、さらにもうひとつのクライマックスを加えた作品です。必要な道具は付属しています。ふたつ目は「5枚カード」。5枚のカードを1枚ずつ空中に投げ上げると同時に消失させ、最後には逆に1枚ずつ駆虫から取り出して見せる高難度のテクニックです。3つ目は「幽霊の感触」。目の前のマジシャンは両手が塞がった状態にもかかわらず、観客が目を瞑った瞬間に何者かに腕を触られるという恐怖。すぐに目を開けてもその何者かの姿はありません。しかし、その一部始終を遠巻きに見ている別の観客にはタネが丸わかりです。大勢が集まった楽しい雰囲気の場でおおいに盛り上がる作品です。
今号も HISTORY OF MAGIC も WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みです。その分「バック・パーム」については詳細に解説されていますので、これを機に身に付けてしまいましょう。
No.038
MAGIC
104. ビリヤード・ボール(前半)
105. シュガーパックの中から現れるコイン
付録
* ボール2個
ボール特集だった30号と36号に引き続き、38号もボールの演技に力が入っています。今回の基本テクニック講座もボールのテクニックで、シェルを使ってのロードとスチールの手順が見開きで詳しく解説されています。単なる手順に収まらず、ちょっとした体の動きにまで気を配った解説です。
作品解説は2つです。ひとつ目(というかほとんど)は「ビリヤード・ボール(前編)」。7ページにもわたる詳細な解説で本格的なショースタイルの演技が学べます。前半だけとは言え、シルクからボールが出現したり、ボールの数が増減したり、最後には指の間に4つの赤いボールが現れるところまでの現象が起きますので、一通りの道具が必要です。道具は、30号と36号に付属していたボールとシェル、12号に付属していたシルクが必要です。ふたつ目は「シュガーパックの中から現れるコイン」。ボールとは無関係で、付け足しのような2ページほどのボリュームの解説ですが、内容は実用的です。
今号も HISTORY OF MAGIC も WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みです。その分ビリヤード・ボールの解説に力が入っています。
No.039
MAGIC
106. PKダイス
107. ニュー・ワープ
108. ドリンク入りグラスの消失
付録
* 封筒 & ダイス6個
今号では基本テクニック講座はありません。
作品解説は3つです。野島伸幸氏考案の作品が2つ取り上げられているのが特徴です。ひとつ目は「PK ダイス」。付録の封筒とダイスで簡単にインパクトの強い現象が実現できます。6色のダイスを封筒に入れよく混ぜ、その中から観客にこっそりと1つを選んでもらい色を覚えたら封筒に戻してもらいます。その後、マジシャンが持った封筒からサイコロが1つ飛び出してきて、華麗にキャッチした物を確認すると、観客が覚えた色のサイコロです。ふたつ目は「ニュー・ワープ」。これも野島伸幸私の作品です。カード・ワープのバリエーションですが、これはもうバリエーションの域を超えています。1枚のカードを三つ折りにし、山折したり谷折したり、そんな簡単な操作をしているだけで不思議なことが起こります。インデックスが消えたり現れたり、表面が見えている状態で掌を通すと裏面になって出てきたりします。みっつ目は「ドリンク入りグラスの消失」。ぐっと毛色の変わった作品で、誰でも簡単にできる、宴会芸といった趣です。飲み物入りのグラスにハンカチをかけるだけで、グラスが消えてしまう作品です。
今号も HISTORY OF MAGIC は休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD は、作品提供もしている野島伸幸氏が取り上げられています。付属の DVD でも実演されています。また、野島氏が代表を務めるマジックショプ「Majion」も紹介されています。
No.040
MAGIC
109. 小さくなるトランプ
110. 腕に現れる文字
付録
* 小さくなるトランプ
今号では基本テクニック講座はありません。また、HISTORY OF MAGIC も WELCOME TO MAGIC WORLD もありません。
作品解説は2つです。ひとつ目は「小さくなるトランプ」。ほとんどこれがメインです。付属の道具を使って、ファンに広げたカードが徐々に小さくなっていき、最後には消えてしまうという現象を起こすことができます。「小さくなって消える」という演出と「小さくなって最後には花吹雪になって散っていく」という演出の2パターンの解説があり、実践的な内容になっています。また、この作品は6ページを割いて詳細に解説されていますので、散りばめられたアドバイスを生かして本格的なパーラーマジックができるようになります。ふたつ目は「腕に現れる文字」。観客が選んだカードが、なぜかマジシャンの腕に文字として現れるというインパクトの強い作品です。解説は1ページだけですが、原理はシンプルなので充分に理解できる内容です。
HISTORY OF MAGIC も WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みの今号。その分、25号以来久しぶりの「TABLE MAGIC SHOW」が収録されています。ここまでに 100 種類以上の作品を解説してきたことを踏まえて、カード・コイン・メンタルからバランス良く9つの作品を抽出して、20分程度のショーを構成しています。単に9作品を並べるだけではなく、全体の中に大きな予言トリックを忍ばせたルーティーンです。
レビュー
なし