ザ・マジック 051号〜060号
デアゴスティーニから刊行された、隔週刊「ザ・マジック」。マガジンとDVDのセットで解説をするというスタイルは、マジックのレクチャーにはちょうど良いのかもしれません。監修はメイガス氏。現代のターベル・システムとなり得るか。
隔週刊 ザ・マジック シリーズ紹介
No.051
MAGIC
136. カードの印刷
137. ポケットに通うカード
付録
* トランプ (Bicyvle 赤)
* ブランクフェイス・カード
今号の基本テクニック講座は少し難易度が高めで、カードテクニックの「ダイアゴナル・パームシフト」が取り上げられています。デックの中央あたりにに差し込んだカードを密かに抜き取るテクニックのひとつです。
作品解説は2つです。ひとつ目は「カードの印刷」。何も印刷されていない1組のデックが一瞬で全て印刷されて普通のデックになるというビジュアルな現象が起こせます。必要な道具は全て付属してます。ふたつ目は「ポケットに通うカード」。相手が選んだカードをデックに差し込んだはずなのに、いつの間にかポケットに移動している。観客に何もないことを事前に確認してもらったポケットなのに、何度も移動します。そして最後には驚きの展開が。テレビでも良く演じられるインパクト抜群の作品です。この作品だけでひとつのルーティーンとして完成している逸品です。6ページにわたって詳細に解説されています。
今号は作品解説が充実しているので、HISTORY OF MAGIC も WELCOME TO MAGIC WORLD もお休みです。
No.052
MAGIC
138. スプリット・ファン・プロダクション
139. 連理の白紙
付録
* マニピュレーション・カード
基本テクニック講座はお休み。作品解説は2つです。ひとつ目は「スプリット・ファン・プロダクション」。カードを空中から次々と取り出すというステージではお馴染みの手順が解説されています。本格的な指先の訓練を必要とする、やりがいのある手順です。必要な練習量は大きくなりますが、本格的なマジシャンとして見られるようになるでしょう。ふたつ目は「連理の白紙」。急に和妻です。若手和妻氏として活躍する北海翼氏が解説を担当しています。半紙を折ってはハサミを入れる作業を繰り返し、12枚の紙片にしますが、次の瞬間には全てが御幣のようにつながるという、こちらも和妻としてはお馴染みの作品です。つながった紙片を手でちぎって扇で仰ぐと紙吹雪になるという現象も場を盛り上げること間違いなしです。(準備が多少大変ですが後片付けも大変です)
HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、「連理の白紙」の解説も担当された北海翼氏が取り上げられています。養老瀧之丞として「養老派」の名跡を継承しつつ、クロースアップ・マジックやイリュージョンも手がけ、和洋問わず幅広く活躍されています。
No.053
MAGIC
140. 魔法の絵本
141. アウト・オブ・ディス・ワールド
付録
* 魔法の絵本
基本テクニック講座では「カードの1枚出し」と題して、ステージマジックでよく見かける技法が解説されています。前号では取り出したすべてのカードをファンに広げるという演技でしたが、今号ではバックパームした数枚のカードから1枚だけを取り出す技法が解説されています。
作品解説は2つです。ひとつ目は「魔法の絵本」。全ページ真っ白な絵本に魔法をかけると、モノクロの絵本に変わります。続けて魔法をかけると全ページがカラーに変わるという二段階の現象です。必要な道具として絵本が付属しています。ふたつ目は「アウト・オブ・ディス・ワールド」。デックを裏向きに持ったまま、観客がテーブルにカードを1枚ずつ重ねていきますが、その際、赤と思ったカードと黒と思ったカードを別々の山になるように重ねます。半分ほど配り終えたら、もう1人の観客に残りのデックを渡し、同じように赤黒を予想してテーブルに重ねていきます。最後に表向きに返すと、赤黒が見事に分かれているという現象です。ほぼポール・カリーの原案ですが、最後に赤黒が分かれている様子を見せる部分には工夫が施されています。
HISTORY OF MAGIC はお休み。WELCOME TO MAGIC WORLD では、手品アーキビストの岡村真衣さんが取り上げられています。マジックに携わる立場には、パフォーマー、ヒストリアン、インベンター等たくさんありますが、アーキビストを名乗る人は今までいなかったのではないでしょうか。マジシャンとして秘密を守ることの大切さを知り、ライブラリアンとしてマジックという芸能文化を保存し継承していく大切さも知っている。ともすれば矛盾するこの2つの思いに真摯に向き合いながらも、にこやかに軽やかに歩みを進めています。頻繁に興味深い活動をされていますので、あえてここには書きません。ぜひ最新情報をご自身でチェックしてみてください。
No.054
MAGIC
142. ドロワー・ボックスを使用したインビジブル・デック
143. ハンカチを通り抜けるカード
144. 折れた幼児の復活
付録
* カード・ドロワーボックス
基本テクニック講座はお休み。作品解説は3つです。ひとつ目は「カード・ドロワーケースを使用したインビジブル・デック」。第47号で解説されたインビジブル・デックを、より面白く演出することができます。ドロワーケースから取り出した見えないデックを使って、観客に一枚カードを選んでもらい裏返してデックに戻します。その状態の見えないデックを再びドロワーケースに戻します。しかし、ドロワーケースを開けると見えるデックが出てきて、観客が裏返したカードもきちんと裏向きになっています。ふたつ目は「ハンカチを通り抜けるカード」。発明者も分からないほど古くからあるマジックですが、ハンカチから一枚のカードが通り抜けて出てくるシーンは、現代の目で見ても新鮮なものがあります。みっつ目は「折れた楊枝の復活」。ハンカチの中に包んだ一本の爪楊枝を観客の手でポキッと折ってもらいますが、ハンカチを開くと折れていない楊枝があるというシンプルながらインパクトのある作品です。
HISTORY OF MAGIC はヨハン・ネポムク・ホフジンサーが取り上げられています。「カードマジックの父」と称される彼の存在は、現在のカーディシャン達にも強く意識されています。中でもホフジンサー・プロブレムには数多くのマジシャン達が知恵を出し合っています。WELCOME TO MAGIC WORLD はお休みです。
付属のカード・ドロワーボックスはとても有用なアイテムで、デックサイズ以下のものなら出したり消したりが簡単にできます。これを入手するために今号を購入しても決して損はありません。
No.055
MAGIC
145. ジャンボコインの出現と消失
146. シガレットの復活
付録
* ジャンボ・コイン
今号の基本テクニック講座は、付録のジャンボコインに特化しています。手のひらいっぱいのサイズのコインを隠し持つテクニックとして「天海パーム」「プレッシャー・パーム」の2つが解説されています。作品解説は2つです。ひとつ目は「ジャンボコインの出現と消失」。必要な技法は基本テクニック講座で解説されています。ジャンボコインを手に持ったところから始まり、タイトルとは逆に消失させてから出現させます。インパクトだけを考えるなら出現してから消失させたほうが良いかもしれませんが、そうすると演技終了時点で隠し持ったコインをどうにかしなければならず、もう一つのテクニックが必要になってしまいますので、止むを得ない演出かと思います。ふたつ目は「シガレットの復活」。タバコを一本取り出し、観客の目の前で2つにちぎって分けます。それがまた目の前で一本のタバコに復活します。
HISTORY OF MAGIC と WELCOME TO MAGIC WORLD はお休みです。代わりに30分の TABLE MAGIC SHOW が収録されています。第25号、第40号に続き、3回目になります。これまでに学んだ作品の中から、カード・コイン・ロープ等からバランス良く9つの作品を取り上げています。実際に演じると30分には収まらないと思いますので、慣れないうちは少し数を減らして行うと良いでしょう。
No.056
MAGIC
147. レインボー
148. クレイジーマンズ・ハンドカフ
149. コインの透視術
付録
* レインボー
基本テクニック講座はお休みです。作品解説は3つ。ひとつ目は「レインボー」。空のパスケースを観客に持ってもらい、その時点で空であることを証拠として残すために、観客のスマホを借りて撮影しておきます。それから、観客が覚えたカードをパスケースの中に飛ばすマジックを行います。デックからカードが消えますが、その行き先は観客が持っているパスケースではなく、なんと先ほど撮影した写真の中のパスケース、というインパクト抜群の作品です。考案者の Higar 氏が DVD での解説も担当しています。ふたつ目は「クレイジーマンズ・ハンドカフ」。輪ゴムを使ったマジックとして一番有名なものだと思います。両手の指先にそれぞれ引っ掛けた輪ゴム同士が繋がるという現象です。観客が持った輪ゴムとマジシャンが持った輪ゴムが繋がったり外れたりする様子が、目の前で行われるというのも作品を魅力的にしている大きな要因でしょう。みっつ目は「コインの透視術」。観客が好きなコインを1枚選び、見えないように伏せたカップの中に入れます。そして隠されたコインの種類をマジシャンが当てるというゲームです。このシリーズで協力者(サクラ)を使った作品が扱われるのは初めてでしょうか。
HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、今号のメインの作品を提供・解説された Higer 氏が取り上げられています。オリジナリティーの高いマジック作品を開発し、国内外のテーマパークや商業施設・企業の広告などの分野でも活躍する、マジック会の発明家として知られる方です。また、愛媛県にある Higar 氏が経営する Magic Bar [Backstage] も紹介されています。
No.057
MAGIC
150. ロープ脱出
151. セイレーン
152. マジックにおける英語① 2つのハート
付録
* 白ロープ2本
基本テクニック講座はお休みです。作品解説は3つ。ひとつ目は「ロープ脱出」。2人の観客が離れた位置でロープの端を持ちます。ピンと張ったロープに4枚のカラフルなシルクを結びつけますが、一瞬で脱出させて見せます。ふたつ目は「セイレーン」。左手に乗せたコインに右手を一瞬かざしただけで、コインが消えてしまいます。この作品は100円ショップで手に入るような道具を使って工作する必要があります。工作マジックの第一弾として解説されていますので、今後もこういった趣旨の解説がなされるものと思います。みっつ目は「2つのハート」。スポンジボールを使ったマジックですが、ポイントは全て英語で行うということです。マジックにおける英語①と題していますので、こちらも今後シリーズ化するものと思います。
HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、ふたつ目の「セイレーン」を解説した二イム氏と、みっつ目の「ふたつのハート」を解説したシンヤ氏が取り上げられています。お二人は実の兄弟。お互いの長所を生かした活動をされています。
No.058
MAGIC
153. 絶対当たる心理テスト
154. オープン・トラベラー
155. ペーパーナプキンの復活
付録
* 絶対当たる心理テスト
基本テクニック講座では、「アスカニオ・スプレッド」と「テント・バニッシュ」が解説されています。基本テクニックではありますが、少しずつ本格的なものが解説されるようになってきました。作品解説は3つ。ひとつ目は「絶対当たる心理テスト」。可愛らしい動物のイラストがたくさん描かれたカードが4枚付属しています。マジシャンが見ていない状況で観客に好きな動物を選んでもらいますが、心理テストの流れで選ばれた動物も当ててしまいます。ふたつ目は「オープン・トラベラー」。手に持ったカードが消え、テーブルの上に突然現れる、そんなシンプルかつインパクトの大きい作品です。基本技法で学ぶ2つの技法を活用して本格的なマジックを習得しましょう。みっつ目は「ペーパーナプキンの復活」。ペーパーナプキンをビリビリに破りそれを手の中に丸め込みます。おまじないをかけると復活するはずですが、、、という展開。一度は失敗かと思わせてさらに驚きの展開にもっていく、サッカートリックです。
HISTORY OF MAGIC と WELCOME TO MAGIC WORLD はお休みです。
No.059
MAGIC
156. カップ1個とボール3個の手順
157. ロープの手順 別法(前半)
158. マジックにおける英語② 透視カード
付録
* ウォンド
* ボール2個
基本テクニック講座では、コインを消す技法「スパイダー・バニッシュ」が解説されています。作品解説は3つ。ひとつ目は「カップ1個とボール3個の手順」。第50号で解説された「カップ1個とボール1個の手順」を発展させた手順です。クライマックス大きなボールが出てくる効果的な作品です。ふたつ目は「ロープの手順 別法(前半)」。一本の長いロープを切ってもつながり、また縮んだり伸びたりと、いろいろな現象を続けて起こすルーティーンです。今回はその前半だけ。みっつ目は「マジックにおける英語② 透視カード」。英語の勉強も一緒にできちゃう英語マジックの第2段。簡単な準備をするだけで相手が選んだカードをビシッと当てることができる作品です。簡単な分、英語の練習の方に意識が向けられる作品です。
HISTORY OF MAGIC はお休みです。WELCOME TO MAGIC WORLD では、コメディマジシャンの西亮一氏が紹介されています。観客とのコミュニケーションを重視した氏のポリシーには学ぶところが多いです。
No.060
MAGIC
159. クイーン切っちゃいました
160. センター・テア
161. ロープの手順 別法(後半)
付録
* クイーン切っちゃいました
基本テクニック講座はお休みです。作品解説は3つ。ひとつ目は「クイーン切っちゃいました」。Higar 氏の考案の作品を Higar 氏自身が解説しています。4枚のトランプを2x2に並べると1枚の大きなクイーンになる、そんな特殊なデザインのカードが添付されています。添付のカードを使ってメンタルマジックにインパクトを添えます。(そのインパクトは蛇足という意見もでそうですが...) 。ふたつ目は「センター・テア」。メンタルマジックの重要な手法の一つですが、独特な工夫を凝らしたアイディアが採用されています。ちょっとした仕掛けを準備することで、クリーンな読唇術現象を起こすことができます。みっつ目は「ロープの手順 別法 (後半)」。前号の続きです。後半でもまた一本の長いロープをちぎったり繋げたりして、最終的に長い一本のロープに戻ります。
HISTORY OF MAGIC と WELCOME TO MAGIC WORLD はお休みです。
レビュー
なし