garamanのマジック研究室

ウケる手品

著者曰く【「実践的なトリック」の「効果的な扱い方」を学びたい方への入門書】です。この本の中では単なるタネや仕掛けの部分を「トリック」と呼び、トリックという道具を効果的に使い人前でする演技を「マジック」と呼んでいます。つまり、トリックを知りたい人ではなく、マジックをしたい人が対象です。19の作品が解説されていますが、その全てに、演技をするうえでのアドバイスが細かく書かれています。むしろこのアドバイスのために作品を解説していると言っても良いかもしれません。マジックを知らない人へのアドバイスですから、トリックをいくつ知っているかは無関係です。多くのトリックを知っている人は読み流してしまうかもしれませんが、むしろそんな人の方が読むべき本かもしれません。自問してください、「この本に載っている簡単な作品を自分は本当に効果的に演じられるのか?」と。「この本に載っている作品だけで、30分間、観客を魅了できるか?」と。

マジシャンの価値は「多くの作品を知っていること」でもなければ、「派手なトリックを演じること」でもありません。それは「作品の価値」や「トリックの価値」であって、マジシャンの価値ではないのです。「記憶に残る作品を演じた誰かさん」ではなく、「何か素敵な印象を残してくれた記憶に残るマジシャン」になりたいものです。

ゆうきとも
ちくま新書

レビュー

なし